5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

( ^ω^)ブーンはギアスを手に入れたようです

1 :結びコンブ:2006/12/28(木) 01:13:15.31 ID:8iyE6WnJ0
代理店

2 :アナルン ◆ANAL...yOA :2006/12/28(木) 01:13:35.98 ID:S0YYTHMG0
チェーン店

3 :猪(求職中):2006/12/28(木) 01:15:54.70 ID:NLZTnWIU0
wktk

4 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:17:40.60 ID:duNYm6l4O
明日、とか言いながら数日経ってしまいました(´・ω・`)スイマセン
規制かかったので携帯からとなってます。
代理の人ありがとうございます。
しかし最近のオレンジは面白過ぎるから困る


8、9、10話の投下をしたいと思います。
ちなみに10話で完結となってます。
携帯慣れてないので不備もあるかもしれませんが
出来れば最後までお付き合い下さい。

まとめはオムさんです。
http://vip.main.jp/77-top.html

5 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:19:32.30 ID:duNYm6l4O

「やぁ。ようこそVIP高校へ。僕はショボン、ショボでいい。君は?」
白々しくも他人行儀に話しかけるショボ。それに対し、出来る限りの笑顔で内藤も合わせる。
ショボは内藤を警戒し近づく素振りは見せない。
十数段の階段を挟み、内藤は上を。ショボは下を。そこから動こうとはしない。
「僕は内藤……。いや、ブーンだお」
「……ブーンか。分かった」
この会話に意図的なものがあるとすれば、内藤が自分を内藤といわずにブーンと称したところにある。
自分やショボ、一人を除いた過去との決別の意でそう呼んだのだ。
そのことに気がついたショボは一瞬だけ寂しそうな顔をし、しかしすぐ元に戻る。
「君に何があったのか、僕には何も分からない。話す気が無いことも分かってる。
 でも、それによって周りの者が不幸になるのなら、僕は黙ってみているつもりは無い」
そう言い放ち、ショボは内藤を睨みつける。
内藤は一瞬怯み、一歩後退する。
「僕が何をしたって言うんだお……!」
「知らないさ。ただ、自分の目で見たことについては好きなだけ言える。ギコに何をした?」

6 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:22:40.37 ID:duNYm6l4O

見られていたのか、と内藤が悪態をつく。
追い詰められ、内藤の思考は少しずつ安易に巡る。鼓動も速くなる。
どうすればいい、この状況を打破するには何をすれば。そんな言葉が常に頭に浮かぶ。
先ほどまでの高揚感も既に消え失せていた。

「それにまだ聞いてない。ドクオはどうした?」
「…………」
「やはり、言えないのか」

ついにショボが階段を昇ろうと一歩踏み出し、一段目に靴を乗せる。
途端に内藤は発狂し、階段を一気に飛び越えるとショボに向け落下する。

「うおおおおおおおおおお!!!!」

飛んでくる。
内藤が行動するよりも早く先に感じていたショボは、すぐに螺旋状の階段の反対側を飛び降りると
その場から立ち去りどこかへと消えてしまう。
内藤が追いかけるが、階段を降りきったときには既にショボはそこに居なかった。

「どこだお!! ショボォォォォーーーー!!!!」

内藤はその場に立ち尽くし、叫ぶ。
声に気付いた担任のモララーが、叫び声の発生源をに駆けつけるまで時間は掛からなかった。

7 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:25:01.79 ID:duNYm6l4O

「おい、誰だ校内で叫びやがって……内藤?」
「ショボは!!」
「なっ……。どうした、お前? 大丈夫か? 今日は休みだと思ってたが……」
「ショボを探し出せ! 今すぐにだお!」
「……分かった。だから静かにしろよ?」

モララーは内藤の命令に背こうとはせず、素直に従う。
その場から急いで走り去るモララーの瞳は赤く染まっており、そこに己の意志はない。

「どこに逃げたお……。ショボ……」

その目は深く血走っている。それが、能力によるものなのか興奮によるものか本人にも分からない。

「早く、早く見つけないと……。あいつは邪魔だお……。
 クーの復讐をしないといけないんだお……。だから、だから……」

壁に手を沿えバランスをとりながら、ゆっくりと歩き出す。
先ほどまで血走っていた瞳から涙が零れ始めるが、それを拭おうとはしない。
足取りは酷く不安定だ。

「今まで、ずっと我慢してきたんだお……。クーが消えてから……。
 僕はクーの復讐をしないといけないんだお……。泣いてちゃダメだお……」

内藤は涙を拭い、もう一度歩き始める。

8 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:29:37.26 ID:duNYm6l4O

その間も常に内藤の数歩後ろを位置し、ギコは決して離れようとはしない。
存在感すら皆無に近く、ひたすらに内藤についていく。
既に真後ろにもう一つ足音がすることには違和感を感じなくなっていた。

「…………」
「……おい、ギコ。お前もショボを探して来いお」
「…………」
「聞いてるのかお! さっさと行けって言ってるんだお!」

怒鳴りつける内藤に対し、ギコは俯いたまま何の反応も見せない
内藤はギコに違和感を感じ、近くに詰め寄ると顔を覗く。見た限りでは能力の効果は効いている。
不自然な程に真っ赤に染まった瞳がその証拠だ。

「どうしたんだお? 何で言うことを効かないんだお?」
「…………」

沈黙を続けるギコに興味が薄れていったのか、内藤は放っておくことにした。
しかし、内藤が歩き始めればギコはそれにつられて動き出す。
その様はなんとも奇妙で、人形のようだ。

「……どういうことだお。僕は着いてきて僕に従えと言ったんだお?」

疑問が湧いたものの、それ以降このことについて内藤が深く追求することはなかった。
また内藤がこのことについて解決するのも、もう少し先になる。

9 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:33:12.13 ID:duNYm6l4O

体育の授業の場所はグラウンドか体育館になる。
内藤は、ショボは授業に混ざっているのではないかと考え始めた。
先ほどの足取りが嘘のように、軽やかに走り出す。同時にギコも走り始める。

「……クラスの皆が居ようが居まいが関係ないお。僕にはこの能力があるんだお」

位置的に近い方に。体育館へと向かうが、すぐに立ち止まる。

「……多分、ショボは体育館じゃないお。
 どうせならいざと言うとき逃げやすいグラウンドに行く筈だお……」

ボソボソと独り言を言いながら向かう方向を変え、後ろについてくるギコと肩をぶつけグラウンドへと向かう。
結果的に、内藤の読みは正しかった。
ショボは常に警戒しつつ、内藤が来れば全員を逃がせるように授業に参加していた。
場所はグラウンド。科目は持久走。
しかし、体育教師のプギャーは担任のモララー不在に動いており、授業には関与していなかった。

つまり、授業は授業として成り立っておらず、各々が自由に動き回っていて
内藤には有利な、ショボに不利な状況となっていた。

10 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:35:55.72 ID:duNYm6l4O

内藤がグラウンドに出ると、晴天による日差しが体中に注ぐ。
素直に心地よいと感じられる。

「ショボは……。ショボはどこだお……?」

グラウンド上には数名がその場に座り、話し込んでいた。中には長岡もいる。
授業に従い走っているものも居たが、それもクラスの人数から考えればごく一部だ。
内藤は、地に座り仲間内での会話に花を咲かせているグループに近づく。当然、話しかけるのは長岡だ。

「ショボを、知らないかお?」
「お、内藤か。どうしたんだ? 今日も休みかと思ったぜ」

笑いながら返事をする長岡に詰めより、睨めつけながら内藤がもう一度言う。

「ショボを、知らないかお」

一度目と違い、長岡は冷たく突き放されるような錯覚を覚えた。

「知らない……と思う。多分、その辺にいるんじゃないか?」
「…………」

内藤は黙ったままその場を離れ、指差された方向へと向かい走っていく。
その様子にその場にいた全員が気圧され言葉を失い、黙り込んでいた。

「あいつ……どうしたんだ?」

11 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:39:24.04 ID:duNYm6l4O

内藤はグラウンドを離れ、校舎裏へと向かう。すると、そこには案の定ショボが居た。
ショボがいることを確認すると、すぐさま駆け寄り、拳に力を込める。
ショボが振り向くと、既に内藤はショボの目の前にいた。

「まっ……」

ショボが言葉を言い終わる前に内藤の拳がショボの頬に触れ、衝撃を叩き込む。
その場に倒れるが、すぐに立ち上がりショボも反撃の態勢をとる。

「痛いなぁ……。いきなり来るとはね」

はははと笑いながらも、目つきは鋭く内藤に対し敵意を見せ付ける。

「何故だかお前には効かないんだお。だから、手段も選んでられないお」

言葉の意味は理解出来なかったが、内藤を見つめながら少しだけ微笑む。
内藤はその間にポケットから細長く、光るものを取り出す。

「何が効かないんだい? 実に興味深いね」
「関係の無い話だお」

内藤は間合いを詰めながら、右手に掴んだものを再度握りしめる。
確実に、一発で。そう考えていたために、中々動き出せずにいたのだ。

内藤は我慢しきれずに、飛び出した。

12 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:42:39.93 ID:duNYm6l4O

クーの敵さえ討てればそれでいい。
その一心で、内藤は二年の時を過ごしてきた。

「うぐッ……うぁぁぁ……」

内藤は思い返す。クーが自宅付近で何者かに刺し殺され、自分の元から消えてしまったこと。
傷心する自分に話しかけてくるドクオやショボ達。彼らの繋がりで悪友も増えた。

「君達には、とても感謝しているお。……そしてこれからも」

右腕の上腕部を抑え、必死に痛みを堪えるショボ。顔は痛みで歪んでいる。
抑えつけた部分からはじわじわと血液が滲み出てきており、腕を伝って地面に垂れる。

「卑怯な真似をしてくれるじゃないか……」

痛みに耐えながら、わざと笑いながらショボが話しかける。
足取りは覚束ないが、その瞳は全く屈してはいなかった。もしくは、屈していないと見せ付けていたのかもしれない。

「……悪いとは思うお。でも手段を選んでいられる程、僕にも余裕がないお」
「それは、良い事を……聞いた……。君には、余裕が無いのか。それなら出来る限り……時間稼ぎを、しようじゃないか」

止めを刺そうと、内藤が飛び掛る。

13 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:45:18.46 ID:duNYm6l4O

「待て!!」

突然、後ろから何者かに呼び止められ内藤は動きを止める。
内藤が振り向くと、そこにいたのは困惑した表情の長岡だった。
ナイフを持った内藤に、おそらくそれによって切りつけられたであろう腕から酷い出血をしたショボ。

「何やってんだよ、お前……!!」

長岡の登場に乗じて、ショボが走り出す。目標は目の前の内藤だ。
ショボは右腕を庇いながら左肩で内藤にぶつかり、そのまま何処かへと走って行ってしまう。
振り向いた状態でぶつかられたため、内藤は体制を崩しその場で縺れる。

「待てお!! ショボ!!」
「おい内藤……。今のは……どういうことだ? さっぱりワケが分かんねぇぞ……」

怒りに震え、内藤を睨みつける長岡は内藤が自分に気がついていないことに気付く。
正確には気がついていないのではなく、眼中に入っていないのだ。

「説明してくれ。どうなってる。何がどうなってんだよ……」
「…………」
「言えないってか……」

悪態をつきながら再度内藤を睨みつける。
しかし、やはり自分は内藤の瞳には映ってはいなかった。

「それならよ、俺にもやり方がある。……お前をショボをには会わせねぇ」

14 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:48:29.06 ID:duNYm6l4O

ニヤりとした笑いを内藤に見せつけ、何らかの反応を待つ。
すると内藤は俯きながらゆっくりと歩き出し、長岡の元へと歩みを進め始める。
距離にして十数メートル。歩く早さは少しずつ速まり、次第に加速する。気がつけば全速力で走っていた。

「退け、長岡! 僕の邪魔をするなお!」

しかし長岡は一向に退こうとはせず、向かってくる内藤を見据えその場に立ち尽くす。
激昂した内藤を見ると、長岡は寂しそうに笑う。

「そういや、お前との喧嘩って決着ついてなかったよな……。まぁ、いいか」

内藤が長岡を突き飛ばし、そのまま走り去ろうとするが長岡は内藤の腕を掴み放さない。

「行かせねぇよ。何があったか知らねぇけど、お前が変な方向に向かってるようなら……俺は全力で止めるぞ」
「黙れお! 僕に近づくな!」

内藤の瞳が輝く。

15 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:50:07.09 ID:duNYm6l4O
8話終了です

次9話いきます。

16 :おせち(1d):2006/12/28(木) 01:52:17.71 ID:m2I75b8hO
ひとまず乙

17 :猪(60才):2006/12/28(木) 01:52:53.77 ID:d3iURu420
この小説ではギアス使っておにゃのこにえっちなことしちゃうシーンはでてきますか?

18 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:54:31.02 ID:duNYm6l4O

長岡の、腕を掴む力が抜ける。
同時にくるりと振り返ると、どこかへと去ってしまった。

「困ったお……。また……また見失ったお……」

行く当てが思いつかずに立ち往生する内藤に、真上から、頭上から呼ぶ声がする。
声帯から、女性であることが分かる。

「おぉーーーい、聞こえるぅーーー?」

ヤケに間延びした呼びかけに、内藤は声の正体を理解した。

「ツンかお」
「お、気付いたか。オッケ、それじゃこのまま聞きなさい」
「把握したお。つーか何で屋上に居るんだお」
「眺めがいいのよ。それで、アンタの獲物さん。校内に入っていったわよ。
 本当は手を貸すつもりは無かったんだけど、アンタがあまりにも不甲斐ないもんだから」

ツンデレが溜め息をつく。

「ちゃんとやりなさいよね」
「分かったお。でも、ありがとうお」
「いいわよ、これくらい。結局最後は私のためになるわけだしね」

19 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 01:57:21.58 ID:duNYm6l4O

内藤が急いで校舎へと向かうと
ちょうど授業が終わったらしく、クラスメイトは昇降口に集まっていた。
ギコは、もういい、と「ついてこい」という命令を解いておいたため校舎裏で立ち尽くしていた。

「お、内藤。いつにも増して今日は遅いな。もう四時限目だぞ?」
「三時限目だ、兄者……」

流石兄弟が内藤に話しかける。
しかし内藤は気が立っていた。全てはタイミングが悪かったのだ。

「何か文句があるのかお?」

その場にいた全員が内藤の言葉に振り向き、動きをとめる。
しかし、内藤はそれに気付かずに能力を発動させる。流石兄弟は内藤の予想外な反応に黙り込んでいた。
ゆっくりと流石兄弟に近づき、内藤は二人の顔を睨むようにして見つめる。

「お前ら、死んじゃえお」

内藤の瞳が輝き、同時に流石兄弟二人の片目も同じように輝く。

兄弟は辺りを見渡し、何かを探し始める。
しかし、目当てのものが無いことに気付くと、二人は互いに一見し、自らの首を思い切り締め始めた。
その場にいた生徒全員が驚き、怯え、叫び始める。

数秒後、二人はその場に倒れ、死んだ。

20 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:00:46.23 ID:duNYm6l4O

「えっ……流石達どうしたんだ?」
「冗談だろ? そんな、マジで死ぬわけねーじゃん……」
「だよな……。おい、内藤、さっさと終わらせろよ! 笑えねーって!」

次々に言葉が飛び出しては内藤に向けられる。
これは内藤にとっても思わぬ出来事だった。この大勢の前で死んでしまうとは思っていなかったのだ。

「どれだけ低脳なんだお……。……失態だお」

その言葉にその場にいた生徒達は青ざめ、叫ぶ。
内藤が流石兄弟を殺した。内藤が流石兄弟を殺した。内藤が流石兄弟を殺した。
口を揃えてそう叫ぶ。

「あぁ、もう。うるさいお……」

クラスメイト達は近づいてくる内藤から遠退くようにして走り回る。
何かおぞましいものを見るような視線を浴びながら、内藤はその場に立ち尽くす。
そこで気がつく。

「もう、こうなればショボなんてどうでもいいお……」

クーの復讐ができればそれで良い。
それなら、既にショボは戦力外で、害でもない。今後使えるとは思えないし、何より手段が無い。
わざわざ始末する必要もないと内藤は考えた。

「あっれ、どうしちゃったわけ?」

21 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:04:29.49 ID:duNYm6l4O

校舎から離れ、何処かへと向かう内藤に屋上に居たはずの彼女が話しかける。
しかし、彼女の問い掛けに全く反応せずそのまま歩き続ける。
疲労からか、焦りからなのか、内藤の瞳は既に死んでいた。

「ドクオは……。ドクオは何をやってるんだお……?」

誰に問い掛けているのか、少なくともツンデレではない。
そう感じさせるほどに、彼は草木に向かって話しかけているのだ。

「早く、早くクーを殺したやつを見つけてこいお……。一体何日掛かってるんだお……」
「……ねぇ」
「何だお」

予想していなかった彼の返事に、ツンデレは驚く。
ただの独り言だったのか、と安堵の声を漏らし、しかしすぐに不機嫌そうな表情に変わる。

「どうしたのよ? さっさとショボって子、始末しちゃいなさいよ」
「……ショボはもういいお。元からあいつは関係ないお」
「何に関係ないって?」
「僕の復讐にだお」

内藤の言葉を聞いた途端に彼女は意地の悪い、これまでで一番、飛び切りタチの悪い笑みを浮かべた。
ゆっくりと内藤に近づき、彼の耳元で囁く。

「誰に復讐するのよ?」

22 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:08:58.16 ID:duNYm6l4O

「それが、分からないからこうして……!!」
「教えてあげようか?」

ツンデレの言葉に目を見開き、まるで目が覚めたかのようにして内藤はツンデレを見つめる。
その反応を見てツンデレはさも楽しそうに話を続ける。

「知りたいんでしょ?」
「……本当に、知ってるのかお?」

ツンデレに疑いと祈念の入り混じった視線を送り続ける内藤。
彼女の言葉に縋るように、次の言葉を待つ。

「アンタも知ってる人よ」

その笑みに、嘘は無かった。少なくとも内藤にはそう思えた。
約二年の間。待ち続け、追い求めた思い人の敵を内藤自身が知っている。彼女は確かにそう言った。
一層、ツンデレの笑みは深まっていく。しかし内藤の表情は俯いたまま暗く閉ざされており、彼女には確認できない。

「僕が……知ってる」
「そう、知ってる。まだ分からないの?」

二人のもとに、生徒が集まり始める。生徒だけでなく、教師もだ。
中には止血し手当てされたショボが。そのショボの肩を掴み内藤を呼び続けるモララーもいる。

笑みを浮かべながら、彼女が指差す。

23 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:12:28.80 ID:duNYm6l4O

ツンデレが指差したのは、内藤。
内藤ホライゾン。

「…………」
「…………」

沈黙が二人を包み、静寂が訪れる。
外野の声も、ゆっくりと少しずつ聞こえなくなってくる。そして、何も聞こえなくなった。
鼓動のゆっくりとした音がよく聴こえる。

「僕……?」
「そう、アンタ。クーって子を殺した、アンタが探していたのは内藤ホライゾンよ」

途端に静まり返っていた内藤の心臓が活発に動き始め、息苦しくなる。

「そんな、そんなわけないお! 僕がクーを殺すわけが無いし、大体僕はそんなこと知らないお!」
「そうね。アンタはブーンだもの。内藤じゃないから知らないかもね」

クスクスとわざとらしく笑うツンデレの胸倉を掴み、内藤が息巻く。
内藤の予想外の行動に反応できず、苦しそうに顔を歪めるが抗おうとはせずにそのまま話し続ける。

「今のは、冗談よ……。でも、さっきのは、冗談じゃ、ない。
 クーって子を、殺し、たのは間違いなく、内藤ホライゾン、アンタよ……」

その言葉に力が抜け、それによってツンデレが開放される。
苦しそうに喉の辺りを摩りながら、困惑した内藤に言い放つ。

「忘れてるんでしょ」

24 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:16:38.43 ID:duNYm6l4O

「忘れてるんでしょ」

ツンデレの言葉を理解できずに混乱していた内藤だったが、簡単なことだ。忘れていたのだ。
しかし、その一言で解決できるわけもなく、内藤は反論する。

「何を言って……。もし……もしもそんなことがあって、忘れているワケがないお!!」
「なら憶えていないのよ」
「そんなの言葉を変えただけだお! ちゃんと説明しろお!」

内藤が詰め寄り、ツンデレが数歩交代する。また胸倉を掴まれては堪らないからだ。
睨み責め立てる内藤に、ツンデレが苛立ちを隠そうとせず今まで見せたことも無いような表情で睨み返す。
その様に内藤は気圧され口を紡ぐ。

「この能力によって命令されている間の記憶は、曖昧かつ不鮮明。それは使ってて分かってるでしょ?」

この能力とは、内藤の持つツンデレから渡された能力。
これについては分からないことも多く、彼女の以前言った手順と言ったものも分からないままだ。

「それは……知ってるお」
「だったら話は早いわ。要は、それよ」
「だから、そのそれをちゃんと説明して欲しいんだお!」

「クーも、能力を使えたわ」

25 :猪(過敏):2006/12/28(木) 02:21:49.15 ID:EJRz09t90
wktk

26 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:21:51.82 ID:duNYm6l4O

ツンデレが口を開いてから、数秒。数十秒。もっと経ったかも知れない。
内藤が言葉を発することは無い。

「驚くことも無いでしょうに。アンタが持ってるんだから。勿論、私が与えたのよ」

その言葉を聞き、内藤がやっと口を開く。

「……どうして……。どうして僕はクーを殺したんだお……?」
「どうしてって、もう自分でも分かってるんでしょ?」

内藤は下唇を噛み、感情を堪えている。既に皮膚は切れ、血液が唇から顎に伝っていた。

「彼女が望んだから。彼女が命令したからよ」

ツンデレの言葉に、ついに堪えていた感情を抑えきれなくなる。
そうなることを、ツンデレも感づいていたがあえてそれを回避しようとはしなかった。

「何故だお! そんなの納得出来ないお! 僕が! 僕が!
 クーが僕に殺して欲しいはずがないお! あってはならないお!
 クーはいい子だったお! 僕はクーが好きだったお! クーもきっと僕を好きでいてくれたお!
 なのに、だから、そんな……ことは、絶対、ないんだお……!!」

過呼吸で途切れ途切れになり、涙で言葉が続かない。
ツンデレの表情も次第に変わっていく。笑みから苛立ち、そして哀れみに。

27 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:28:37.01 ID:duNYm6l4O

「一つ、勘違いをしていると思うから訂正するわね」
「……何だお?」
「彼女の命令は、“自分を殺せ”ではないわ」
「…………。……どういうことだお」

内藤が縋るように、次の言葉を待つ。
自分が彼女を殺したわけではない。そんな言葉を欲していた。それはツンデレにも分かっていた。
しかし。

「“今あったことを、忘れろ” 彼女はそう言ったのよ」
「……何故、君はそれを知ってるんだお」

ツンデレは本質的な内容は言わず、焦らすようにして一文ずつ区切る。
それが意図的であることに、内藤は気付かない。

「私がアンタに最初に言ったこと、覚えてる?」
「……いや、覚えてないお」
「能力を与える。その代わり、その行く末を私に見届けさせなさい。私はこう言ったわ。
 それはアンタだけじゃない。クーも同じ。だから、私はあのこの行く末を見届けた。
 だから知ってるの。だから、あの子が何を思ってどう行動をとったかも知ってるわ。」

内藤は一言も喋らない。聞き手にまわり、ツンデレの話を聞くつもりなのだろう。

「クーはアンタに頼んだ。自分を殺して欲しいと。能力は使わずにね」

28 :猪(過敏):2006/12/28(木) 02:29:35.62 ID:EJRz09t90
支援

29 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:32:29.39 ID:duNYm6l4O

「それで……僕はそう言われて、彼女を殺してしまったのかお……?」
「そうなるわ。勿論、最初は相当抵抗はしてたみたいだったけどね」

内藤は驚愕し、言葉を失っていた。

「長い間、ずっと話してたわ。どうしても、アンタに殺して欲しいって。
 でもアンタは断り続けた。何時間も何時間も、泣きながらアンタに頼んでたわね」

内藤はまた俯き、表情を見えないようにしていた。
また、内藤からツンデレの表情は伺えない。彼女の笑みに、気付くことは無い。

「アンタのそのポケットに入ったナイフ。それ、あの子の物よ」
「えっ……」
「それはいつ、どこで買ったか。分かる? それはクーを殺したときに使うよう渡されたナイフ」
「そんな……。僕は……これで……」

内藤の声が震えだす。
一滴。二滴と頬を伝い、涙が零れ落ちる。

「僕じゃ……僕じゃダメだったのかお……クー……」
「……?」
「僕が一緒に居るだけで、クーは一人じゃないって……孤独じゃないって……とんだ勘違いだったお……」
「…………」

涙は止まることなく、内藤の顔を濡らす。

30 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:36:43.57 ID:duNYm6l4O

「ツン……」
「僕は……僕はどうすればいいんだお?」

涙は枯れ、少しずつ視界も広まりつつある。

「僕は、君に一緒にいて欲しいお」
「だから」

内藤の瞳が猩紅に輝く。
泣いた後、というのがよく分かる赤く充血した瞳に真紅が重なる。

「ブーンの命令だお、僕に絶対逆らうなお」

「君は僕だけのものだお。そして、僕以外の、僕への愛情以外の記憶も全て忘れるんだお」
「……分かったわ」

その場に集まった生徒と教師を置き去りに、二人は校舎を後にする。

その後、彼がこの地に戻ることはなかった。

31 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 02:39:31.22 ID:duNYm6l4O
9話はこれで終わりです。

10話まで勝手ながら時間をあけたいなと思ってます。
ちなみに10話は後日談。

32 :猪(過敏):2006/12/28(木) 02:40:57.01 ID:EJRz09t90
乙!
面白いな。もっと早く見とけばよかった。
いまからまとめ行くんだぜ。

33 :おせつ:2006/12/28(木) 02:47:45.84 ID:m2I75b8hO
乙乙

34 :猪(黒板係り):2006/12/28(木) 02:50:26.71 ID:7IQFIMgBO
全力で乙ッ!!

35 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 03:30:22.98 ID:duNYm6l4O
申し訳ないです、携帯の充電切れちゃいまして…。

それじゃ10話投下します。短いです。

36 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 03:33:54.65 ID:duNYm6l4O

あれ程、騒々しかった教室が、今では円滑に授業を進めている。

「よし、それじゃ次の問題。……ショボ。お前やれ」
「はい」

担任のモララーは黒板に教科書の数式を写すと、生徒を一人指名した。
ショボは黒板の前に立つと、迷うことなく頭に浮かんだ数式を写していく。

「……よく出来たな。お前、もっといい高校狙えたんじゃないか?」
「いえ、そんな。……でも」
「ん?」
「今は少し後悔してます」
「そうか」
「自分で学校を選ばなかったことに、です」
「ふむ。……あいつらか?」
「……はい」

「彼らと仲を壊したくなかった。だから一緒に進学したんです。
 それでも結局、三人は一緒ではなくなってしまった。
 もしかしたらそれぞれの道に歩んでいればまた違ったかも、と考えてしまいます。」
「……そうか」
「ですが、僕はこれを糧にして出来る限りに進んでやろうと思います」
「…………」
「僕はこんなところで止まっていられない。一緒に、進んでいると思っていたいんです」

ショボは腕の傷跡を摩りながら、席へと戻っていった。

37 :猪(音速):2006/12/28(木) 03:34:26.56 ID:EJRz09t90
ktkr

38 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 03:37:35.24 ID:duNYm6l4O

「あの、この人について知りませんか?」
「いーや、知らないね」
「そうですか……」

ここが何処なのか、本人にも分からない。

「ふひひ、すいません。この人を知りませんか?」
「いえ、知りませんけど……」
「そっすか。それよりこの後、時間あります?」
「あの、忙しいので……」

真っ黒く伸び放題だった髪の毛は、いつのまにかオレンジ色に染まっており
何かあるたびすぐ後ろ髪を触る癖は治っていない。

「よっし、今日も頑張るぞぉぉーー!」

そこに本人の意思はない。しかし、ドクオは歩き続ける。

39 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 03:42:11.34 ID:duNYm6l4O

「ツン、今日はどうするお?」
「…………」
「どこか、行きたいところはないかお? 僕はゆっくり寝てたい気分だおwww」
「…………」

話しかけられた少女は口を開かない。

「あ、そうだお。今日はオムライスが食べたいお」
「分かったわ」

機械的な反応で、口を開き少年に応える。
一瞬、少年の笑顔が歪み、それを隠すようにしてまたすぐに元に戻る。

「あとで一緒に買い物をするお! 今日は卵が安いんだお」
「分かったわ」
「あと、あと……」
「…………」

少女は全く表情を変えずにただただ少年の指示を待っている。
やはりそこに意志はなく、そこにいるだけだった。

「お願いだお……。……僕を、見てくれお……」
「分かったわ」

40 :猪(音速):2006/12/28(木) 03:43:05.28 ID:EJRz09t90
支援

41 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 03:47:55.06 ID:duNYm6l4O

「僕は……ツンともっと遊びたいお」
「…………」
「やっぱり、ツンは違うのかお……?」
「…………」
「そうかお……。ごめんお、無理言って」
「ツン、僕の机に入ったナイフを持ってきてくれお」
「分かったわ」

とてとてと机に向かう。その姿に、愛らしさを感じた。
少女が持ってきたナイフを手に取ると、もう一度彼女に手渡しこう告げる。

「……僕の……最後の命令だお……」
「…………」
「僕を殺してくれお」
「…………」
「…………」
「…………」

長い沈黙が続く。

「…………」
「…………」

しかし、それは唐突に破られ、呻き声によって掻き消される。

「いいわよ」
「……うグッ……うううぅぅぅぅぅ…………!!」

42 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 03:52:13.45 ID:duNYm6l4O

「アンタともこれでお終いね」

先ほどまでの暗く何も考えていないような雰囲気はまるでなく、
それはかつてのツンデレに戻っていた。
その手には刃渡り十五センチ程のナイフが握られており、先端から深くまで内藤の体にずぶずぶと入り込んでいく。

「さい……ご……」
「そう、最後。今更だけど、私に能力は効かないわよ。でも面白そうだったからノッてあげちゃった。
 好きに出来るんだから襲っちゃえばいいのに……。まったく、これじゃ人形遊びじゃない」
「うぅ……うぁ……」

刃の部分が全て入りきると、それを百八十度回転させ、一気に引き抜いた。

「うがぁあぁあぁぁ!!!」

内藤の叫びが木霊する。

「そういえば、前に聞いてたわよね。能力について。この能力はね、同じ人間には一回。一つだけしか使えないのよ。
 だから同時に二つの命令を下すと最初の命令にしか従わないわよ」
「どう……い……うことだ……お」
「前に、継続力はあっても持続はしないって言ったでしょ?
 最初に命令した内容が具体的であれば、命令を受けたものは半永久的に行動を続けるわ」

内藤の意識が徐々に薄れていく。気分が悪く、その場に倒れてしまう。力も入らない。

43 :猪(音速):2006/12/28(木) 03:52:56.94 ID:EJRz09t90
wktk

44 :猪(停学中):2006/12/28(木) 03:55:15.20 ID:7IQFIMgBO
総員、全力でwktkせよ!!

45 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 03:56:04.34 ID:duNYm6l4O

「でもそれが、“言うことを聞け”みたいな不明確なものだと、
 その瞬間、言うことを聞くという命令で終わってしまう。分かるかしら? それが命令の継続と効果の持続ね」
「……ぅ……ぅう……」

既にツンデレの言葉は内藤には届いていない。
内藤の言葉も、ツンデレには届いていなかった。

「アンタは一度、クーにこの能力で記憶の一部を操作されてる。
 そのときの影響で、能力を渡す時の記憶が欠落したのよ。
 本来この能力は同じ人間には一度しか使えない。それを、私が無理矢理与えたから障害が起きたのかもね」
「ツ……ン……」
「割と楽しかったわ。ねぇ覚えてる? 私がアンタに最初に言ったことの続き。忘れてるだろうけどね」


「それじゃ、アンタに能力を与える。その代わり、その行く末を私に見届けさせなさい」

「私にとって、アンタは暇つぶしでしかないの」

「それを、忘れないでね」








( ^ω^)ブーンはギアスを手に入れたようです the end

46 :猪(大人):2006/12/28(木) 04:02:19.72 ID:7IQFIMgBO
乙じゃない…
超乙だ!!!!

47 : ◆FpeAjrDI6. :2006/12/28(木) 04:05:45.15 ID:duNYm6l4O
以上を持って( ^ω^)ブーンはギアスを手に入れたようですは終わりです。
読んで頂き本当にありがとでした。

締め方云々は色々意見あるかも分かりませんが、
最初からこうするつもりでした。

放送中のアニメを題材にするのは何かと大変で、いろいろと錯誤したんですが
ギアスの能力とかやっつけです。自分の解釈で進めてしまったので今後矛盾はきっと出るだろうなぁ。
本編とは別物として見ていただければ幸いです。

最後にもう一度、wktk支援して下さった方々。本当にありがとうございました。

48 :猪(早すぎ):2006/12/28(木) 04:09:59.07 ID:+m5eORzD0
こ れ は ナ イ ス な エ ン ド

作者は間違いなく超乙

49 :猪(進化系):2006/12/28(木) 04:16:22.44 ID:EJRz09t90
お疲れ様でした!

50 :黒豆(四粒):2006/12/28(木) 06:43:35.18 ID:6dVEWKC6O
たし

51 :黒豆(五粒):2006/12/28(木) 07:03:30.05 ID:6dVEWKC6O
今一気に読み終わったああああああああああああああああああああああ>>1乙か例ああああああああああああああああああああああんあげぼっちょあげぼっちょ

52 :凧(ぱしり):2006/12/28(木) 12:22:05.54 ID:QzivKMA70


31 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.02 2018/11/22 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)