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( ^ω^)ブーンと隠のツンξ゚听)ξ

1 : ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:11:37.13 ID:VQFBC5qF0
はじめに言いたいことを全部言っておく。

・書きながら投下ってのに挑戦するからやや遅め
・似非古風御免
・序盤視点が目まぐるしく変わるから名前欄に目印付ける

2 :プロローグ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:12:38.70 ID:VQFBC5qF0
 虫の音も聞こえない静かな夜、重苦しくも冷たい水の流れが二人の間に流れていた。
いつもは隣り合い、笑顔で眠くなるまで話をしていた大切な場所。けれどもその日、思い出の
川辺に、私は初めて泣き顔で立っていた。
 いつも二人ここで見ていた綺羅星も今日に限って一つも見えず、光を浴びない私の顔が
どんどんと憂慮の色へと染まっていくのが判った。

ξ;;)ξ「薄情だ……」

 そう俯き加減に悪態を吐く私を彼は優しく撫ぜてくれた。その掌から伝わってくる優しさが、
頭の天辺から鼻先をくすぐり、首筋を愛撫して全身へと広がっていくのを感じる。
 それでも、身を切るような寒さが私のどうしようもない悲しみを余計に膨らませていくのを
しとしとと感じずには居られなかった。

(  ω )「……もう、さよならだお」

 彼はそう言って繋いでいた私の手を離そうする。この今にも流れの途絶えそうな細流の
此方と彼方を結ぶ唯一の懸橋が今、朧になり霞んでいくのを感じ私は泣き喚く。

ξ;;)ξ「イヤだ! イヤだ! さよならなんてするもんか!」

 けれどもその時、細流に一筋の細い薄氷が延びるのを、私は確かに見てしまった。
そして慌てて上げた視線の先には、もう彼は居なかった。
私の手に温もりだけを置いて、彼は居なくなってしまったのだ。

3 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:15:20.15 ID:VQFBC5qF0


                         一


 パチ、と音を立てて目を開くと、薄暗い部屋の天井はまるで固められた積乱雲のように
見えた。ひんやりと冷たい朝露を含んだ香を鼻腔に溜めると、先ほどまでの暖かな
彼の囁きが耳元からさらさらと消えていくのを感じ、私は慌てて掬い上げようと手を
伸ばしたのだが、一体どこに手を差し出したらいいか知らんと困り果ててしまうのだった。
 遠くでそれを見た鴉が「馬鹿ダナァ」とささめいたのを聞くと、私は傍にあった盆を外へと抛り、
舌をこれでもかと引き出して赤ん目をする。しかし、やはりそこには鴉など居るわけも無く、
私はただ一人寂しく虚無へと舌を出しただけなのだった。

 一人になって幾星霜を重ねたかは分からないけれども、今でもあの時の彼の困り顔が
頭から離れずに居た。それが消えるまでの間いつものように、暫く床から何とはなしにただ
雪の降る庭を見ていた。そしてその雪は私の心にしんしんと積もり、溶け、涙へと変わる。

ξ゚听)ξ「……あの川はすっかりと凍ってしまいました」

私は奥歯を噛締め寂しさを紛らわせるために一人彼に語りかける。

4 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:17:10.04 ID:VQFBC5qF0
 室に仕舞っていた肉を部屋に持ってくると、私はいつもの様に遅めの朝食を準備し始める。
ガチガチに凍っているその塊を炉辺に包みごと置き、ふと囲炉裏の煌々とした朱に目を奪われた。

ξ゚听)ξ「……お母様」

お母様は一体この孤独をどうしたのだろうか。そればかりは幾ら書を読み解いてみても全く解決
しなかった。そのような記述は無く、また記述したところでどのようなことが出来ようか、と言うこと
なのだろう。そしてゆっくりと溜息を吐く。ここまでがいつもの私の朝だった。


5 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:22:23.35 ID:VQFBC5qF0
 当時から僕は相変わらず自由気侭に生きていた。自由はあったものの金は無かったのだが。
そんな僕が遊びに行くところと言えば今も昔も、近くの山位しかなかった。
 あれは9年前のことだった。僕はいつも通る山道の途中で土砂崩れに遭い、あわや
生き埋めという体験をした。いや、実際生き埋めにはなったのかも知れない。
ただ気が付くと一生懸命に僕を介抱してくれている女の子がいたのだ。

ξ゚−゚)ξ「……」
( ^ω^)「……君は……」

 宙を舞う視線が絡み合って数秒、女の子は立ち上がり小走りで僕から離れ、消えていった。
介抱と言っても行われた場所は小さな川の辺だったし、傷口は乱暴に何かの布でぐるぐる
巻きにされているだけだった。
 折角巻いてくれた布だったが、僕はそれを外して傷口を確認した。外す前にある程度の予想は
していたが、やはり大した傷ではなかった。


6 :おみくじ(五回目でやっと吉):2006/12/28(木) 22:27:14.61 ID:lYFDHQhN0
ピアノと役立たずの人か。


7 :角焼もち:2006/12/28(木) 22:28:24.82 ID:/JAZVNR3O
wktk

8 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:29:43.18 ID:VQFBC5qF0
( ^ω^)「それにしても……」

 問題は傷ではなくここからどうやって帰るかだった。辺りを見回してみてもまるで見覚えが
無い場所だったのだ。山の事は何でも判っていた気になっていた僕はすぐに不安になって
しまったのだ。年の頃も15でまだまだ子供だった僕は解決策を考えることもなく、その場で
座り込んでしまった。

 そうして居る内に辺りはすっかりと暮れ、いよいよ僕は大袈裟ながら人生の終わりを感じていた。
このまま夜の闇に食われて死んでしまうのだなと不安が形になって襲い掛かってきていたのを
今でもはっきりと憶えている。だからこそそれ以上にその暗闇に浮かんでいた篝火のような
真赤な活力に満ちた彼女の瞳を今でも忘れることが出来ない。

9 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:34:37.85 ID:VQFBC5qF0
ξ゚听)ξ「こっち」
( ^ω^)「?」

 唐突に現れた彼女はいきなり僕の手首を掴んだかと思うと、彼女は何を思ったか川の中へと
足を突っ込み、僕をぐいぐいと引っ張るのだ。自分よりも年下に見えるその子は、まるでふざけ
半分に僕を川へ誘おうとしているようにしか見えず、僕は必死に抵抗した。しかしまるで後ろに
ひっくり返ることを顧みぬかのように全身で引っ張る彼女の力に僕は負け、ついには頭から川へ
突っ込んでしまった。

(;^ω^)「ぶわっ! 何するんだお!」
ξ゚听)ξ「着いた」
(;^ω^)「ついたって一体何が……」

不思議なことに同じ川の傍の景色なのに、そこには見覚えがあった。

10 :おせち(30,000ウォン):2006/12/28(木) 22:35:45.41 ID:VQFBC5qF0
あ〜ごめん、重複した。

× 唐突に現れた彼女はいきなり僕の手首を掴んだかと思うと、彼女は何を思ったか川の中へと
○ 唐突に現れた彼女はいきなり僕の手首を掴むと、何を思ったか川の中へと

11 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:40:22.71 ID:VQFBC5qF0
 いつものように炉辺に、しなり、と座り込み数冊の書物を傍らに積むと、私は一番上のものを
手に取り、パラパラとめくり始める。
 悲しみに暮れる一方で私はその解決策をあれからずっと探していた。お母様が居たならば
きっと愚か者と罵られたに違いない。自ら禁忌へ足を踏み入れようなど愚の骨頂と云わん
ばかりに頬をパシン、と叩かれもしただろう。
 けれども私は知ってしまった。お母様が奈落と宣ったその世界に、心を囚われてしまった。

ξ゚听)ξ「お母様、ごめんなさい……」

 いつの間にか止まっていたページをめくる手を再びぴくりと動かせると、窓の外にどさり、と
到来の音が聞こえた。今月は少しばかり早かったか、などと考えながら私はパタリと本を閉じ、
着物のシワを手で伸ばすと戸口へと歩き出した。

12 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:45:00.95 ID:VQFBC5qF0
 戸を開けるとすぐに、雪で真白に化粧をした庭の端にいつも通りどん、とそれが置いてあるのが
見えた。私はやはりいつも通りにズルズルとそれを引きずって室へと移す。雪ばかりが降るこの世界で
私が生きていけるのはこのお空様からの贈り物のお蔭だった。

ξ;゚听)ξ「……今日はまた一段と……重い……」

 いつかは、と思ってはいるのだが確かめるまでも無くやはり今回もサカナではなかった。
昔食べたサカナの味が忘れられない。私は幾度と無く妄想した食感をまた舌の上で転がすと
遠くで凍ったままの川を眺め、また1つ溜息を吐き、お空様は余程のサカナ嫌いなのですか
と天を仰いで呟いた。

13 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:49:59.53 ID:VQFBC5qF0
 あの出来事からと言うもの、僕はその山の子への興味が尽きることは無かった。毎日のように
山へ足を運び彼女を探した。自分以上に山を知っていたその子に初めは嫉妬さえしたものだが、
それはすぐに消え去り、代わりに現れたのは彼女の知識への羨望だった。
彼女と遊びまわりたいという欲求が15の僕を突き動かしていた。

( ^ω^)「今日はどこへ行くお?」
ξ゚听)ξ「川」
(;^ω^)「川は昨日も一昨日も行ったお……どうせならもっと違う……」
ξ゚听)ξ「ダメ。カアさまがダメって」

 しかし彼女はいくら誘ってみても始めて会った川の近くからは離れようとしなかった。僕としては
もっと自分の知らない場所、例えばこの前気を失っていた場所なんかでもいいから行って
みたかったのだが、そのことを伝えてもやはりダメの一点張りだった。

14 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:53:11.92 ID:VQFBC5qF0
 それを何とかしようとある日僕は、昔からの馴染みだったしぃに相談を持ちかけた。

( ^ω^)「と、言うわけで何とかならないかと思ったんだお」
(*゚ー゚)「何とか、ねぇ……でもお母さんがダメって言ってるんでしょ?」
(;^ω^)「う〜ん……」
(*゚ー゚)「私も連れてってよ」
( ^ω^)「お?」
(*゚ー゚)「私なら同じ女だし、歳も少しは近いでしょ?」

 結果から言ってしまうと、しぃの提案はそれから後に1度も問題を解決することは無かった。
しかし道が塞がったのではなく、別な道が出てきたのだからそれはそれで良かったのだろう。
僕は今でもそう思っている。

15 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 22:58:45.93 ID:VQFBC5qF0
 室から帰り食事を済ませると、私は桃色をした気に入りの絞りの羽織を着て、いつものように
彼の川へと向かった。
 頬を刺すような寒気に身震いをしながら私はそれでも確認せずには居られなかった。
もしやあの川は私の知らぬ間に融けてはいないか知らんと。
 ザクザクと雪を踏みしめ辿り着いた川はやはりいつも通りに冷たく凍ったままだった。
硬く閉ざされた水面の、その上更に雪が降り積もっている様はまるで私の心模様かなと、
淡い白妙の吐息が延びていくその先を、私は見つめ続けた。

ξ゚听)ξ「今、貴方は何をしているの?」

俯き、止まったままの河流に向かって呟いた言葉も、ふわふわと広がっていき、その先へと
届くことはなかった。

16 :おみくじ(汚れて読めない):2006/12/28(木) 23:02:33.92 ID:xbtCJMfb0
しえん

17 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:05:06.30 ID:VQFBC5qF0
( ^ω^)「そうだツン、今日は飛び切り面白い話を持って来たお」
ξ゚听)ξ「うん、聞く」

 彼女はツンと言う名前だった。僕が聞き出したわけではなく、しぃから教えてもらったものだった。
その時、僕は彼女の持っているものばかりに執着して、彼女を見ようとしていなかったのだなと
思い知らされたのだった。

( ^ω^)「……そこに母さんがすごい顔で走って来たんだお。それで僕はこれはマズイと思って……」
ξ*゚听)ξ「うん、うん」
(*゚ー゚)「ねぇ! 引いてるよ!」
(;^ω^)「お!」

 その言葉に僕は慌てて強くしなる釣竿を掴む。川から離れられないのなら川で遊ぼうと
しぃが釣りを提案してくれたのだ。都合の良いことに釣竿は僕の父さんが沢山持っていたし、
釣れなくてもこうして話をして過ごす時間も非常に楽しかった。彼女が僕の話に顔を赤らめ
興奮した仕草で聞き入る様が、僕を饒舌にさせるのだ。

(;^ω^)「このっ、よっ、ほっ……あ」

 急に手ごたえの無くなった竿を引き上げると、案の定魚は逃げてしまっていた。僕がそれを
見せ、照れ笑いをするのを見て、2人も釣られて笑う。こんな繰り返しの日々の中でいつしか
僕の心の中にあるものが芽生え始めた。

18 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:09:12.04 ID:VQFBC5qF0
 何も芽生えることの無いこの世界は死んだ世界と云っても良いと思う。ただ雪が降るばかりで、
木が芽吹くことも蛹が羽化することも無い。只管に長い冬を我慢し続けなければならないのだ。
 勿論春が訪れないからといって私の体が朽ちてしまうようなことは無いが、私の心はこの寒さに
凍え、バラバラに砕け散ってしまいそうだった。彼の温もりだけが、この世界には足りなかった。

ξ゚听)ξ「……」

 私はその温もりを求め今もこうして蔵の書を読み続けている。お母様が、そしてお母様の
お母様、それよりもずっと前の1つに連なる私のご先祖様が私に宛てて書き残してくれた
沢山の知恵の結晶から私はこの世界へ雪融けをもたらす方法を探している。

「自業自縛ダ」

嘲笑う声が聞こえた気がして、私は湯呑を宙へ抛った。

19 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:13:29.73 ID:VQFBC5qF0
 ある肌寒い夜のこと。いつものように別れを惜しみながら川辺で3人語り合っていた時の
ことだ。満天の星の瞬きに薄らと照らされたツンの横顔を見て僕は決心をしたのだ。

( ^ω^)「しぃ、その……向こうに飲み物を置いてあるから取ってきて欲しいお」
(*゚ー゚)「うん、いいよ」

 文句1つ言わず下流の方へと駆けて行くしぃの背中に僕は小さく謝り、そしてポケットに
忍ばせていた髪留めをツンに気付かれぬよう取り出した。熟したナナカマドの実のように真赤な
その髪留めで、僕はゆっくりとツンの前髪を留める。初めは目を大きく見開いたツンだったが
やがて状況を把握すると目を細め、「ん〜……」と声を漏らし、それを受け入れてくれた。

 真赤な髪留めはとてもよくツンに似合っていた。それは僕が初めて異性にあげた贈り物だった。
未だ目を瞑りこちらを向いているツンを見てまるで自分自身が受け入れられたような気がして、
僕はそのまま無防備なその唇に、そっと口付けをした。触れるだけの幼いキスだったが、
それだけで天地がひっくり返るくらいの強烈な感覚に僕は一瞬間陶酔した。

20 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:17:56.36 ID:VQFBC5qF0
 頭の中から酔いが抜け、半ば慌て気味に離れたツンの唇の先から言葉が漏れた。

ξ゚听)ξ「……かんいんざい」
(;^ω^)「姦淫罪って、ツンなんでそんな言葉……と、いうかこれはその、ついと言うか……」

その言葉が終わる前に僕の唇は再びツンのそれと、くっ付いた。雛鳥が親鳥から餌を貰うような
勢いで突き出された唇に、僕はツンを支えきれず後ろへ倒れこんだ。まさかの返礼に僕は
頭の中でスパークが起こったような錯覚を覚えた。

ξ*゚听)ξ「ぷはっ、ブーン、ヘンなニオイする」
(;^ω^)「な、そんな馬鹿な。僕はこう見えてもちゃんと毎日……」

 懐に顔を埋めるツンの頭頂部を見つつ、僕はふわふわと香ってくる汗と男には無い特有の
女の匂いが混じったようなものに、我慢できずゆっくりとツンを慈しむよう抱きしめた。

21 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:21:08.82 ID:VQFBC5qF0
 そして暫くその温もりを確かめた後、ツンを引き剥がして「多分お酒のニオイだお」と付け加えた。
確かに僕の服には甘い酒の匂いが染み付いていた。

( ^ω^)「甘酒を貰いによく酒蔵に遊びに行くんだお。今度ツンにも甘酒持ってきてあげるお」
ξ゚听)ξ「うん!」
(*゚ー゚)「持ってきたよ〜」
ξ*゚听)ξ「あまざけ!」
(;^ω^)「ごめんお。これは甘酒じゃないんだお」
ξ(゚、゚#ξ「……」

言われ、機嫌を損ねたツンをなだめながら僕は夜空に輝く星達に笑顔を向けた。

22 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:26:57.40 ID:VQFBC5qF0
 見せる相手も無しに粧し込むのは、やはり私が女だからなのか。しかし、どうも物語などを
読んでみると一概にそうとは云えないようだ。やはりそれ相応の目的と云うものが必要なのだろう。
はて、それでは私はどうなのだろうかと考える。

ξ゚听)ξ「……よし、と」

 いつものように最後に真赤な髪留めを留めて、あぁと声が漏れた。私は彼の為に毎日
身仕舞いをしているのだなぁ、と鏡に映る自分を見ながら納得した。いつか来るその時、
直ぐに彼に会いに行けるように、最高の姿を見せるために、そして彼に綺麗になったねと
驚いてもらえるように。

ξ゚听)ξ「いつの日か……」

いつの日か、それは来るのだろうか。

      「来ヌ! 汝ノ様ナ戯レ女ハ、朽チルノミゾ!」
ξ゚听)ξ「煩い!」

耳鳴りは未だ止まない。

23 :丸煮もち:2006/12/28(木) 23:29:14.71 ID:mSWlpKapO
これだけ言わせてくれ



すごく…いいです…

24 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:33:02.21 ID:VQFBC5qF0
幸せな日々が続いた。明け方は透き通った空気が肺臓の隅まで行き渡って綺麗に浄化し、
昼は燦々と輝く太陽が何でも出来るような気になるほどにエネルギーを与えてくれた。
暮れ方は沈み往く夕陽が僕をロマンチックな気分にし、夜は綺羅星が僕達を祝福してくれた。

(*゚ー゚)「は〜い、ご飯できたよー」
( ^ω^)「うぇ〜い」
ξ゚听)ξ「うぇ〜い」

 いつからか僕達は家族ごっこのようなものをしていた。と言うのもその頃からツンが段々と
その元気をなくし始めていて、表情も優れなくなっていたのだ。それをどうにかしようと僕達は
空想の家族を作り食卓を囲む真似までするようになっていた。
 誰がどの役と言うものを決めていたわけではないが、改めて考えるに、しぃが母、僕が父、
ツンが娘と言ったところか。しかし、そうなると僕は娘を愛した危険な男になってしまうのか。
まぁ、今となってはどうでもいい。

(*゚ー゚)「たーんとお食べ」
( ^ω^)「うむ、こいつは天下一品。これで明日も乗り切れる気がするお」
ξ*゚听)ξ「うん! おいしい!」

25 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:38:08.77 ID:VQFBC5qF0
 ご飯といっても飯事遊びの延長のようなものだった。かと言って泥団子を食べる真似を
すると言うわけではなく、川で釣った魚なんかを焼いて食べたりする事だってあった。
幸せだった、本当に幸せだった。
なのに憂き世は残酷だった。

(*゚ー゚)「ねぇ、ブーン……」
( ^ω^)「なんだお?」

それはいつものように2人でツンの待つ山へ行く時の事だった。

(*゚ー゚)「……もう止めよう?」
( ^ω^)「止める?」
(*゚ー゚)「あの子とは、もう……関わらないでおこうよ」

信じられない言葉がしぃの口から飛び出していた。その瞬間には全くもってその意味が
理解できなかった。

(;^ω^)「……どうしてそんなこと言うんだお?」
(*゚ー゚)「……あの仔、隠(おぬ)の仔みたいなの」
(;^ω^)「隠……?」

この世ならざるもの、隠。昔聞かされた話を僕は思い出していた。
大昔に厄災を招くと恐れられ退治されて以来、今では里に下りることも無くその末裔が
ひっそりと山のどこかに隠れ住んでいる。そんな話だった。

26 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:43:45.03 ID:VQFBC5qF0
 夕陽を眺めながら今日も一日が終わるのかと溜息を吐く。またご飯の準備をしなくてはならない。
また明日もこうして同じことをして、それがずっと続いて、私は歳をとって死んでいくのだろうか。

ξ゚听)ξ「……私は」

自分の存在を確かめるように紡いだ言葉もその続きが出てこない。

      「汝(なれ)ハ卑シキ賊――」

 私は耳を塞ぎ、目を瞑る。煩い鴉の空耳が最近やけに酷い。
あの日の事を、やはり私はまだ後悔しているのだろうか。いや、しないはずが無い。

      「汝ハ人ニアラズ! 汝ハ隠! 彼方トハ――」
ξ゚听)ξ「クドい!」

 囲炉裏の炭がパチ、と弾けた。
何故お母様は私が彼と会う前に亡くなってしまわれたのか。いっそ止めて欲しかった。

27 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:46:27.21 ID:VQFBC5qF0
 ツンの調子は日に日に悪くなっていた。最初は元気が無いだけだったはずが、段々と顔色
が蒼くなりいつしか目の下には隈が出来ていた。ふっくらとしていた頬は痩け、絹糸の様だった
髪の艶も今では光を反射することさえしなかった。

(;^ω^)「……どうしたらいいんだお」

 目の前で衰えていく大切な人を前に僕はどうしようもない無力感を噛締めていた。
自分が何も出来ない子供だと言うことを実感し、苛立ちばかりが募る日々が続いた。

ξ;--)ξ「……」
(;^ω^)「ツン? 大丈夫かお?」
ξ;--)ξ「……」
(;^ω^)「ツン……」

28 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:50:02.29 ID:VQFBC5qF0
 果てには昔のように笑いあうこともなく、ただ寄り添って心配する声を掛けるだけの日々。
ツンが元気になるならと子供の僕に出来る限り色々なことをした。色々なものを手に入れた。
けれどそれは逆に手の打ちようが無いと言うことをじわじわと知らされることに同じだった。

 出会った頃は元気だったツン。それが幾らかの日々を共に過ごし、みるみる衰えていく。
それはつまり、ここに居ること自体が毒なのだと、そう考えるより他無かった。

(*゚−゚)「……あの仔はここに居てはいけないのよ」
(;^ω^)「……でも」
(*゚−゚)「合わない世界に長く居て、あの仔はもうじき命を落とすわ」
(;^ω^)「……わかった……わかったお…………わかったお……」

それが僕達の結論だった。

29 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:54:26.58 ID:VQFBC5qF0
 そう、あの日出来損ないのパペットのような体を引き摺って私は此方まで来ていた。
この体の不調が何に因るものなのかをあの鴉に聞くために。

      「馬鹿ダナァ」

 開口一番、鴉はそう俗っぽく云い首をぐるりと回すと、ケタケタと喉の奥を鳴らした。

ξ゚听)ξ「でも、カアさま。私はあっちがいい」
      「汝ハ隠。彼方トハ相容レヌ存在」
ξ゚听)ξ「あっちがいい!」
      「静マレ。汝モ何時ノ日カ悟ル。今ハ亡キ母上ノ為ニモ――」
ξ゚听)ξ「もういい!」

 話にならない、と私は踵を返し彼の待つ世界へと向かった。しかしその入り口は鴉によって
簡単に封じられてしまい、私はただ狼狽し、鴉を睨みつけるしか出来なかった。

30 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/28(木) 23:58:00.68 ID:VQFBC5qF0
      「斯様ナ体ニ成レドモ、未ダ下賤ノ毒ヲ欲スルハ愚鈍ノ……」
ξ゚听)ξ「うるさい!」

そして羽を広げ羽ばたく準備をする鴉の口から吐き出された言葉。

      「……我ハ是ヨリ彼ノ者ヲ屠ル故、失礼」
ξ#゚听)ξ「汝ぇ!」

その後姿を、私は黙って見ていられなかった。ここが私の分岐点。

 記憶は殆んど残っては居ない。それが時間によるものなのか、夢中だったためなのか、
はたまた何かそれ以外に理由があるかは定かではない。でも真赤に染まった私の手の上で
ぐったりと息絶えた鴉のあの姿は、未だに私の網膜に焼きついたままだ。
 何をどうやったのかはわからない。けれども私は鴉を弑(しい)してしまった。それだけは事実だ。
そしてこれを機に此方は終りの見えぬ冬へと入ってしまうのだ。

31 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/29(金) 00:05:44.09 ID:o+k2HACW0
 そして別れの日が来た。ツンの表情は幾らか晴れているようではあったが、顔色は相変わらずだった。
「もう心配要らない」とツンは言ったが、その震える言葉を聞いて心配しないわけが無かった。

( ^ω^)「ツン、今日は何をするお?」
ξ゚听)ξ「旅に出る」
( ^ω^)「……旅?」
ξ゚听)ξ「私、今日の夜までに遠くに行かないと、もうここに居られなくなるの。閉まっちゃうの」
( ^ω^)「……」

 僕は困ったような顔をしてしぃに視線を送った。と言ってもそれは勿論表面上であって、
これは『ここに居よう』と言う合図に他ならなかった。

( ^ω^)「わかったお。じゃあ僕達は準備をするからツンはゆっくりしてるといいお」
ξ゚听)ξ「でも……」
(*゚ー゚)「準備は私がするから、ブーンはツンと居て」
( ^ω^)「……わかったお」

 膝の上に寝かせたツンをぼんやりと眺めながら、僕はツンの頭を撫でていた。時折、急に別れを
意識して涙が出そうになったこともあったが、上を向いて誤魔化した。
 日も暮れ、辺りが暗くなり始めた頃には気を利かせてくれたのか、しぃは姿を消していた。
そう言えばと僕はツンの遅れ髪を右手でかきあげた。そこには昔聞いた通りに薄らと桜色の
紋様が浮かんでいた。ゆらゆらと浮かぶ湯気のようなそれこそが隠の証拠だった。

( ^ω^)「……ふぅ……」

だからなんだと言うのだろうか。僕は自問した。

32 :禁断の初詣:2006/12/29(金) 00:08:32.03 ID:7EOEO+5L0
ヽ( ・∀・)ノ●ウンコー

33 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/29(金) 00:09:11.09 ID:o+k2HACW0
 覚悟を決めた僕が来たのは最初に出会ったあの川辺だった。寝息を立てるツンをゆさゆさと
揺すり起こすと、辺にツンを立たせて僕は一歩後ろに下がった。

ξ-听)ξ「んぅ?」

状況が把握できないと言った感じで目を擦るツンは闇夜に紛れていても可愛らしかった。
伸ばしそうになる手を必死で我慢して僕は天を仰ぐ。最後の月はどんなものかと見上げたのだが
生憎の曇り空だった。

ξ゚听)ξ「ブーン?」
( ^ω^)「……さよならだお」

 その一言で全てを理解したのか、あっという間にツンの顔がゆがみ始める。パッチリと開いていた
双眸は悲しみに押しつぶされ、ぽろぽろと涙を溢していた。口元では泣き声を漏らすまいと
横一列に噛締められた真白の歯が、今にも離れ離れになりそうだった。

34 :おせち(150j):2006/12/29(金) 00:12:57.54 ID:UvLgNmkgO
期待

35 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/29(金) 00:13:00.93 ID:o+k2HACW0
ξ゚听)ξ「……連れてってよ」
( ^ω^)「……?」
ξ゚听)ξ「約束したのに。私を遠くに連れてってよ!」
(;^ω^)「……その……ごめん……お」
ξ゚听)ξ「そんなの……ダメだよ……」

そう言ってツンが僕の手を掴んできた。しかし僕にはどうすることも出来ない。

ξ゚听)ξ「ダメだよ……閉まっちゃうの。川が凍っちゃうの!」
( ^ω^)「……もう、ここには居ない方がいいお」
ξ゚听)ξ「なん……で……」

びゅう、と季節外れの北風が吹いた。それでも僕は動かない。そう決めたのだから。

36 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/29(金) 00:18:15.89 ID:o+k2HACW0
ξ;;)ξ「薄情だ……」

 ツンの言葉がグサリと胸に突き刺さった。思わず僕は慰めようとツンの頭を撫でてしまう。
いけない、これではいけないのだ。そう思い直し手を引くと、弱い自分と決別するために
もう一度はっきりと告げた。

( ^ω^)「……もう、さよならだお」
ξ;;)ξ「イヤだ! イヤだ! さよならなんてするもんか!」

 ぐしゃぐしゃに泣き濡れるツンを抱きしめたかった。何故自分がこんなことをしているのか
わからなくなった。けれども僕は、その繋いでいた手を、離した。

( ^ω^)「……ぁ」

――ツンなんてどこにも居なかった。その言葉が一番しっくり来る。
今まで幻覚を見ていたかのように、僕の目の前には人が居る気配も、人が居た気配もなかった。
そこには全く誰も居なかった。

( ;ω;)「あ……う……うぁ……」

だから、僕は泣いた。そこに誰も居なかったから。大声を上げて、泣き叫んだ。

37 :ξ゚听)ξ ◆HGGslycgr6 :2006/12/29(金) 00:24:46.51 ID:o+k2HACW0
      「己ガ役割ヲ知ラヌカ! 己亡キ後、待ツハ永久ノ冬ゾ! 血迷ウタカ!」
      「汝ハ人ニアラズ! 汝ハ隠! 彼方トハ相容レヌ存在ナルゾ!」

 死に際にしてはやけにあの鴉め元気だったなぁ、と私は振り返る。正確に理解は
していなくとも、どういうことが起こるか位は当時の私も十分に予測できることだった。
 代々早くに命を落とす私達の教育係と云ってもいいあの鴉は、同時に此方と彼方を結ぶ
あの川辺の支配者でもあった。いや、此方の支配者と云っても過言ではない。
何せ私と鴉しか、此方には居なかったのだから。

ξ゚听)ξ「ふぅ……」

 何故私がここに生まれ出づる運命にあたってしまったのだろうか。そう思いながら私は
盃にゆっくりと酒を注いだ。

 誰も居ないこの真白な世界で私は一人彼だけを思い続け、今ではすっかりと酒等を
嗜むほどにまで成長した。嗜むとは云っても、この彼の匂いがする清酒を盃に取り一つ口を
付けては、ふぅと溜息を吐くばかりで、露も呑めない私はただその匂いに一層彼が恋しくなる
ばかりだったのだが。

ξ;−;)ξ「……何時になれば、雪融けは来るのでしょうか」

再び彼に語りかけ、私は盃が傾くのも気にせずにさめざめと泣き出してしまうのだった。

38 :( ^ω^) ◆HGGslycgr6 :2006/12/29(金) 00:27:58.32 ID:o+k2HACW0
(*゚ー゚)「あなた、お手紙が届いているわよ」
( ^ω^)「ありがとう。……う〜ん、知らない名前だお」

 あれから色々あって僕はしぃと結婚した。今年で2年目になるだろうか。
僕がツンを忘れるまで待つとしぃは言ってくれたことに甘え、随分と待たせてしまった。
 勿論完璧に忘れることなど出来ない。今でもこうして思い出すくらいなのだから。
だがいつまでも子供のように夢を追ってばかりも居られない。そう思い、僕は忘れたから
と言うよりは忘れるために結婚した。こればかりは口が裂けても言えないことではあるが。

( ^ω^)「どうやら今日お客さんが来るようだお」
(*゚ー゚)「どなた?」
( ^ω^)「え〜と……学者さんらしいお」

――ツンは、こんな僕を恨んでいるだろうか。

39 : ◆HGGslycgr6 :2006/12/29(金) 00:30:27.41 ID:o+k2HACW0
第一部\(^o^)/オワッタヨー

なんか綺麗にまとまったけど続きがまだ頭の中にあります。でも、先にやることがあるので
何時何時に書くとは言い切れません。このスレはもうポイしちゃっていいです。

読んでくれた人、支援してくれた人ありがとう。では、次回また。

40 :おせち(12,000円):2006/12/29(金) 00:34:26.57 ID:WFYUHuG9O


41 :VIP皇帝:2006/12/29(金) 01:18:32.00 ID:G7nEDETcO
これは俺好み。乙

42 :おせつ:2006/12/29(金) 01:30:32.42 ID:hBYn5SylO

楽しみにしてる

43 :猪(イタ電中):2006/12/29(金) 01:31:49.30 ID:Aeq2iwXbO



まだ読んでないけど

44 :猪(浴衣姿):2006/12/29(金) 02:10:06.84 ID:n7yq8Wnd0
ほれ
ただし携帯からしか見れんぞ
http://free.gikoneko.net/up/source/up135255.htm

45 :猪(酒乱):2006/12/29(金) 02:37:47.87 ID:fVOl7hj40
乙!

これは…凄く良い。
凄く惹きこまれる。
何か(´;ω;`)ブワッっとクル

46 :猪(泣き上戸):2006/12/29(金) 03:45:02.31 ID:fVOl7hj40
ほしのあき

47 :猪(水着):2006/12/29(金) 03:48:45.23 ID:wDhRjayiO
>>46
保守しなくておk

48 :おせち(1d):2006/12/29(金) 04:07:36.80 ID:G7nEDETcO
この人ならすぐに帰ってくる気もするがな。いつもスピード尋常じゃないし

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