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( ^ω^)が族の頭になったようです
- 1 :代理:2007/02/22(木) 19:21:32.66 ID:txw89eYB0
- プロローグ
一
夜の市街地を埋め尽くさんと煌めく、幾つものハイビーム。
猛り狂うエキゾーストノートに、鳴り響くクラクションはゴッドファーザー【愛のテーマ】。
そして、行き場のない気持ちに応えるかの様に、族旗は今日も夜に舞う。
「やだなぁ、暴走族は」
「警察は何をしてんだか」
「事故って死ねばいいのに」
大人は正論と綺麗事しか言わず、若者を抑えつけようとする。
器用な者は反論し、抑圧を避けるだろう。
では、不器用な者はどうすればよいのだろうか。
自分達が悪い事をしているのは承知している。
この楽しい時間がすぐに終わってしまう事も、彼等は知っている。
――だから、大人は大人しく黙って見てりゃいいんだお。
- 2 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:21:58.95 ID:YHuQH+AE0
- 族の頭wwwww
- 3 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:22:32.01 ID:vohAGqIZ0
- >>1
感動した。
ハイビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーム!!!!!!
- 4 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:23:18.50 ID:3EQUuAAG0
- なんてマルチな才能www
- 5 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:25:46.79 ID:LqQLo9QbO
- 二
('、`*川「……内藤君? 内藤君? うぉい!」
教師に肩を揺すられ、内藤ホライゾンは寝呆け眼を擦った。
目を開けたはいいが、意識はまるで向こうの世界に逝ってしまっている。
( ‐ω‐)「ん、おはおー。いとちゃん……」
内藤がそう呟いた瞬間、内藤の頬が教師につねられる。
かなりの力が籠もっているのだろう。
ぼんやりとしていた目は開き、涙が光っている。
(; ゚ω;)「いひゃ、いひゃい! いほーひぇんへぇ、ほめんだほ!!」
教室内が爆笑に包まれた。これがこのクラスの日常風景。
明るく、楽しく、朗らかに。
伊藤のほっぺつねりから解放された内藤がぽつりと呟いた。
( ;ω;)「……鬼ババ」
聞こえてんぞ、と伊藤が睨み付ける。
体を震わせ、内藤は落書きだらけの机に着席した。
从゚∀从「なぁなぁ、今晩“暴走”りにいくんだろ?」
後ろの席から内藤に問い掛ける、美しい金色の長髪に、短ランの美青年。
瞳は恋する乙女の様に輝いていた。
- 6 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:27:15.94 ID:LqQLo9QbO
- ( ^ω^)「もちのろんだお! 高岡、みんなに伝えてくれるかお?」
从゚∀从「ヒャッハー! 任せとけ!……ドクオが来たらどうする?」
内藤の瞳に狂暴で凄惨な光が宿り、高岡は内心戦慄した。
その笑顔に潜むは狂気か狂喜か。
( ^ω^)「もち、ぶっ潰すお!!」
高らかな宣言に教室中が沸いた。
雑誌、服、椅子などが宙を舞う。
「ドクオ死なす!」
「【舞雲】出陣だぜ!」
「私も行きたいよー、内藤ー」
伊藤は無言で黒板に現代文を綴っていたが、やがて我慢が限界に達したようだ。
('、`#川「じゃかまっしゃあぁああ!!」
伊藤は長い爪を黒板に立て、思い切りなぞる。
(; ゚ω ゚)「いとちゃん、それは反則だお!」
教室は阿鼻叫喚に包まれた。
伊藤は素知らぬ顔。彼女はこの音の耐性を持っているのだ。
- 7 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:29:21.46 ID:LqQLo9QbO
- 三
水を打ったように静まり返った教室。
その空気は重く、淀んでいる。
その原因は教室の隅に不気味に居座る、男女の所為だろう。
その一角からは絶えず紫煙が立ち上っていた。
(-_-)「ドクオさん、今夜【舞雲】が“暴走”るみたいですよ」
ドクオと呼ばれた男は、ああ、と呻き顔を中空に向けた。
その顔はお世辞にも綺麗とは言えない。
いや、醜いとは言わないが、増悪が彼の顔を歪ませていたのだ。
川д川「……もちろん、出ますよね」
教室に平手の音が響き、空気が凍り付いた。
……彼等の周囲以外は。
('A`)「当たり前の事言ってんじゃねぇよ、貞子。
……ヒッキー、【毒髏】全員に集合掛けとけ」
ヒッキーは黙って頷き、教室を出て行った。
教師は只黙って見て見ぬ振りをする。
ドクオに逆らってはこの学校では働けない。
- 8 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:30:51.45 ID:LqQLo9QbO
- ('A`)「お前のチームは今夜……」
流れる血を拭おうともせず、貞子は人差し指を口元に添えた。
それはまるで陽炎のように見える。
誰にもわからず消えてしまいそうだ。
川д川「……【夜薔薇】の集合、掛けておきます……」
('A`)「勝手にしやがれ」
貞子とドクオは連れ立って教室を出て行った。
陰欝な雰囲気が消え、教師は安堵の溜め息を吐く。
( ><)「じゃ、気を取り直して授業を再開するんですっ」
自分がこれで正しいのか、教師は分からない。
胸中に渦巻く暗雲は、己の正義感か、それとも自己嫌悪だろうか。
- 9 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:32:36.85 ID:LqQLo9QbO
- 四
(*゚ー゚)「あら、ツンさん。そんなに慌ててどちらへ?」
ξ;゚听)ξ「ごめんなさい! シスター!」
ツンと呼ばれた少女は、早足を止め、シスターに深々と礼をした。
清楚な乙女。そんな言葉がよく似合う、美しい巻髪。
(*゚ー゚)「元気なのはよろしいのですが、女の子はおしとやかにあるべきですよ?」
シスターの声はツンに届いたかどうか。
彼女はすでにシスターに背を向け再び歩きだしている。
ξ゚听)ξ(うっせ、ババァ)
綺麗な薔薇には刺があるらしい。
ξ゚听)ξ「クー。貞子先輩から連絡来た?」
二人の少女だけが知っている人気の無い渡り廊下。
ツンはスカートをまさぐり、ポケベルを出した。
この学園ではご法度の代物だ。
川 ゚ -゚)「うむ、もちろん。――楽しみだ」
- 10 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:33:07.19 ID:F3plVhRT0
- しえん
- 11 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:33:35.99 ID:LqQLo9QbO
- とても楽しみにしているようには見えない。
もう少し感情を表に出せば引く手数多なのに、とツンは思う。
腰まで伸びた美しい黒髪に、モデル顔負けのプロモーション。
そのもう一つの顔は、【夜薔薇】の突撃隊長。
咲き誇る二輪の薔薇は、夜にその輝きを増すだろう。
- 12 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:35:42.66 ID:LqQLo9QbO
- 五
( ^ω^)「今夜、決着をつけるお」
内藤は鏡の前で、頭の証、たすき掛け。
从゚∀从「楽しみだな、オイ。ヒャハハッ!」
高岡は自慢の金髪を逆立てる事に余念が無い。
('A`)「……今夜」
ドクオはガレージにて、自らの愛車に軽く手を添えた。
(-_-)「……」
ヒッキーは部屋の隅で精神を集中させる。
- 13 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:36:44.40 ID:LqQLo9QbO
- 川д川「ドクオさん……」
貞子は愛しい人の写真を、ポケットに忍ばせた。
ξ゚听)ξ「フンフン♪」
紫のアイライン、真っ赤なルージュがツンのお気に入り。
川 ゚ -゚)「早く暴れたいな」
暴力衝動を抑えられないクーは、壁をひたすら殴る。
今宵、物語の幕が上がる。
未だ幼さの残る、少年少女達のお伽話。
プロローグ 完
- 14 :愛のVIP戦士:2007/02/22(木) 19:38:10.53 ID:LqQLo9QbO
- 第一話
一
美府公園。
美府市市民の憩いの場であり、豊かな緑と広い敷地が特徴。
老若男女、大人、子供問わず愛される公園である。
そして美府公園は、自らを愛する者を区別しない。
夜九時。昼に見せた賑やかさとは両極端の喧騒が、公園を支配していた。
単車の轟音に、粗野な罵声と怒声。
しかし、背負った白い特攻服は、彼らの誇りと自尊心。
遠巻きに見つめる善良な一般人の白い目も気にならない。
いや、むしろそれは見せつけるように、誇らしげに咲く夜の華。
从゚∀从「うーい、ブーン。【舞雲】全員集合完了っと」
天に突き刺さらんばかりに長髪を尖らせ、顔には歌舞伎を真似た隈取り。
背中に背負った【天地掌握】と胸元の【舞雲特攻隊長】の刺繍。
『狂闘士』。高岡の喧嘩を見た者は、彼をそう形容する。
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